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2015年11月

家族とのパートナーシップ1

11月21日

季刊「児童養護」2015 Vol.46 No.2に掲載された私の文章を掲載します。この雑誌には児童養護に関する最新の情報が掲載されます。購読してください。

家族とのパートナーシップ

本誌編集委員/栃木県・養徳園 総合施設長 福田 雅章

新しい原理としての「家族との連携・協働」

家族とのパートナーシップについては、施設運営指針のなかで社会的養護の原理の一つとして次のように記されている。

④ 家族との連携・協働

・保護者の不在、養育困難、さらには不適切な養育や虐待など、「安心して自分を委ねられる保護者」がいない子どもたちがいる。また、子どもを適切に養育することができず、悩みを抱えている親がいる。さらに配偶者等による暴力(DV)などによって「適切な養育環境」を保てず、困難な状況におかれている親子がいる。

・社会的養護は、こうした子どもや親の問題状況の解決や緩和をめざして、それに的確に対応するため、親とともに、親を支えながら、あるいは親に代わって、子どもの発達や養育を保障していく包括的な取り組みである。

「家族との連携・協働」は施設養護においては新しい原理である。これまでも「親子関係の尊重」という原理があったが、これは親子の再統合を目指して家庭環境の調整を図っていくという意味合いが強かった。それに対し「家族との連携・協働」は、再統合するしないに関わらず、親子関係の再構築を含めて親(家族)を支援しながらともに子どもを育てていくという意味がある。葛城氏の報告にあるケース①②はまさにその具体例であろう。

児童養護施設の養育と親子関係の再構築

児童養護施設での養育は何を目指すのか。よくよく考えてみると、子どもの自己実現であり社会的自立である。そして究極のところ貧困や虐待の連鎖を断つことであろう。そのために私たちは児童相談所(以下、児相)をはじめ様々な関係機関と連携していくのだが、家族との連携・協働となるとおざなりになりがちだ。施設の養育が平穏無事に遂行されることだけを考えれば、前の養育者が施設の養育に関与してくるのは面倒なことだ。「今は養育者(ケアワーカー)との関係を構築していかなければならないのに、親に会いに来られたのでは…」とか、「家庭復帰は到底無理なのに期待だけ持たせて、子どもが不安定になるだけなのに…」等。

児相が扱うケースのなかで児童養護施設まで至るケースは稀(まれ)で、重篤な虐待があったり、親子関係がすでに破たんしていたりして、その家庭に留まることが子どもの利益を損なうと判断された結果である。いずれにしても、親自身が精神疾患、人格障害、発達障害など難しい問題を抱えていることが多く、家族との連携がきわめて難しい。

その一方で、思春期以降に施設や学校の生活に適応できない場合、親が引き取りの意思を示し、子どもは家庭生活への幻想(そこにはバラ色の生活が待っている)から家に戻ることを望むと、丁寧な再統合のプロセスを経ないまま、それ以外の選択肢が見い出せずに家庭復帰の選択がされることがある。子どもの成長の過程にあまり関与してこなかった親が、そうでなくとも難しい年頃の子どもに適切に向き合えるとは思えないのだが。

つづく

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県民のつどい

11月9日

11月は児童虐待防止月間です。子ども虐待防止ネットワークとちぎでは今年も「子ども虐待をなくそう!県民のつどい」を開催します。ご参加ください。
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