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家族とのパートナーシップ2

栃木の方から匿名で3万円のご寄付をいただきました。感謝です。

さて、前回からのつづき


親子の縁は切れない

大学に進学した女の子(A)がいた。Aは入学後、学生支援機構の奨学金がもらえないと私に訴えてきた。理由は親権者の同意がないから。親の所在が明らかな場合、親から同意を取らなければならないのだ。

Aは6歳で実母からの虐待を理由に施設に入所。入所当初は、家庭復帰を視野に入れて親子関係の再構築を図ろうと帰省もさせていた。帰省していた小1の元旦の夜、母親から「もうこの子、無理」と施設に電話が入った。それ以降、Aは母親に会うことはなかった。

母親に同意をもらいにいこうとする私に、Aは「あんな人、親じゃない。絶対ハンコなんてもらいにいかないで。」という。そういうわけにもいかず、母親のところに出向いたが、「あの子が親を捨てたのだから、絶対にハンコは押さない。」と、同意を得ることができなかった。

結果的には学生支援機構が施設長の同意を認めてくれて事なきを得たのだが、私はこの母子の関係に何の働きかけもせずに、高校卒業まで至ってしまったことを反省した。その後、Aから「自分はひとりで生きていく自信がある。でも自分の人生を親に邪魔されたくないから、親の戸籍から抜けて親と縁を切りたい。」との相談を受けた。この母子はここまで憎しみ合うほどの交流はあったのだろうか。戸籍から抜けることはできても親子の縁は切れない。だとしたら、憎しみ合うにせよ、互いを理解する時間を確保するべきだった。もしかしたら歩み寄る可能性だってあったのだ。

 

親子関係の再構築とは、親子が互いを理解すること

3歳で施設に入所した女の子(B)。母親は未婚でBを出産、生活力がなく男性への依存が強いが、DVで関係は長く続かない。母親もBも一緒にと暮らすことを願っていた。これまでに2度、母親は内縁関係にある男性を連れてきては引き取りを求めたが、男性との関係が破たんし家庭復帰は見送られた。6年生のとき、施設の親子生活訓練室に母子で宿泊する機会があった。Bは自分で料理を作って母親に食べてもらおうと意気込んでいた。チンジャオロースを作ってあげたそうだ。母親が帰った後で、Bに「あなたが料理をしているときお母さんは何をしてたの?」と聞くと、「ビール飲みながらテレビを観てた。」と。さらに「どうしてほしかった?」と聞くと、「そばにいて、料理するのを見ていてほしかった。」と。その後も母親が付き合う男性は変わった。母親は頻繁に電話をかけてきては、Bに一緒に暮らすことを求めてくる。今、Bは「お母さんは大好きだけれど、一緒に暮らすのは不安だ。だから高校を卒業するまで施設で暮らしたい。」と言う。小さい頃から母親との暮らしを夢見ていたBにとって、親子関係の再構築のプロセスは親を理解プロセスだったのだ。

一方で、親が子どもを理解することも大切である。例えば、発達障害が根底にあって育てにくさゆえに虐待へと至ったケースがある。親が自身の養育観に固執していたり、その子の養育を一人で抱え込んでいたりする場合に多いが、子どもの特性を知り、厳しくしつけをすればどうにかなるものではないことを知ることが大切だ。また、施設で暮らす子どもの気持ちを知ることは、子どもために何をなすべきなのかなど生活を立て直す糧ともなろう。

つづく

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