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2017年12月

新しい社会的養育ビジョン3

12月7日

新ビジョンの工程表について拙速すぎないか、と書いた。里親の数もそうだが、支援体制が十分でない状況で里親委託を進めれば、事件、事故が起きるというのが一般的な意見であるが、私のいう「拙速」は順番が違うということだ。
新ビジョンは「児童福祉法改正を具現化するために」というのが大義名分だ。すべての子を社会全体で養育する、だから「社会的養育」という言葉が使われたのだろう。そのためにまずやることが里親委託の推進なのか。それよりも市町村レベルでの子育て支援の充実がまず先だろう。在宅にあって支援が入っていない家庭に、市町村がどれだけ実効的な支援を入れられるかが重要だ。
今日のように「親の責任」を問う風潮が強い日本では、子どもを養育すること自体にリスクを感じる人も多い。施設措置にしろ、里親委託にしろ、最終的な責任は措置権者にあるが、地域で生活する人として「養育の責任」というリスクを考慮してもなお、里親をしようとする人がどれくらいいるであろうか。何らかのトラブルがあった場合でも安心して養育できる仕組み作りは欠かせないと思うのだ。長らく児童養護施設に従事していると、施設長として頭を下げ ることが多々ある。近隣や学校の対応に追われることもある。こうしたがないようにするには、まず「社会全体で子どもを育てる」こととはいったいどういうことなのか、についての議論は欠かせないし、地域が課題を抱えた家族を包摂できるようにならなければならない。だから里親養育を推進することよりも先に、地域の子育て支援なのだ。それなくして里親養育を増やしていくことはあまりにリスキーだ。
もう一つは、親権者との関係だ。今、社会的養護にある子はそのほとんどが親権者が健在である。医療行為への同意。とりわけ精神科受診、服薬など。特別支援教育への移行も親権者の同意を得る必要があるかもしれない。昔と比べれば親権が制限されることが増えたが、まだまだ親権が強いのが日本の風土。法律の面からも整理していく必要がある。
地域の子育て支援も、里親委託の推進も同時進行してことなのだろうが、数値目標が示されれば、まずはその目標達成が優先される。事件、事故が起こらないことを祈るばかりだ。

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